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むかしあるところに幸村という素直で可愛らしい男の子がいました。 ある日のこと、幸村は大好きなお館様にプレゼントをもらいました。 「なんという寛大なお心!この幸村、幸せ者にございます!」 少々オーバーに(幸村はいつもこうでしたが)喜びながら箱を開けますと、 中には25体の、すずでできた忍の人形が入っていました。 「おお、これは立派でござる!某に仕える者として、真田隊と名付けよう。」 そう言いながら一体ずつ人形を取り出しますと、最後にちょっと変わった人形が入っていました。 他のは忍らしく黒っぽい装束に身を包んでいるのですが、彼だけは迷彩柄のポンチョ。 しかも髪は橙色と、およそ忍らしからぬ風体です。どうやら職人が遊び心をおこしたようです。 幸村はこの人形がすっかり気に入りました。 「よし、お前は佐助と名乗るがよい。この忍隊の長を命ずる!」 幸村は忍の人形の箱を抱えて、お館様へお礼を言いに行きました。 「お館様!立派な物をありがとうございます!」 「おお、幸村よ、気に入ってくれたか。」 「もちろんでございます!」 そこで幸村はお館様の部屋にあるものに気づきました。なかなか精巧な城の模型です。 「素晴らしい模型でございますな、お館様。」 「うむ、新しい城を構えるにあたって試しに作らせたものじや。」 「では某の忍隊にこの城をまもらせましょう。」 幸村は忍の人形を城の周りや死角になりそうなところに並べ始めました。 「佐助、お前はここだ!」 最後に佐助を主の間に置いて完成です。 幸村は満足してその日は眠りにつきました。
さて、夜も更け。オモチャ達の時間です。 真田隊となった忍達も、それぞれ体を伸ばしておしゃべりなど始めました。 そして佐助はといえば。 さすがは長です。忍としての腕は超一流。早速天井裏の侵入者の存在に気づいていました。 そう、この城の天井裏には敵の忍として作られた人形まで配置してあったのです。 全くよくできた模型です。 「出てこいよ、そこにいるのは分かってんだぜ。」 「くっ・・・」 悔しげに顔を歪めて天井裏から降りてきたのは美しいくのいちでした。 「へー、こいつはいい女だねえ。俺は佐助。あんたの名前も教えてよ。」 「ふざけるな!簡単に敵に名乗ると思うか!?」 「まあまあ、同じ忍同士、仲良くしようぜ。」 「寄るな、馬鹿!」 そうやって佐助がくのいちを口説いているところへ、幸村がやって来ました。 どうやら寝ぼけて厠と間違えたようです。 そして幸村は、自分が信頼している佐助がにやけた顔でくのいちに言い寄っているのを見てしまったのです。 幸村はとても純情な子だったので、佐助のしていることが許せませんでした。 「は、破廉恥であるぞ、佐助えええ!」 幸村にぶっとばされた佐助は、障子を突き破り、外に飛び出してしまいました。 「嘘だろー?」 驚いたくのいち、かすがが見上げると、寝ぼけたままの幸村が部屋に帰っていくところでした。
外に投げ出された佐助が痛みをこらえて起き上がると、自分を覗き込んでいる猿がいました。 慶次の猿、夢吉です。城下に蕎麦を食べに来ていた慶次とはぐれていたのでした。 退屈していた夢吉は、器用に笹の葉で舟を作ると、佐助を乗せて川に流しました。 「おいおい、流してどうすんの。」 「ウキ(バイバイ)。」 「嘘だろー?」 なんとかバランスをとりながら川を下っていましたが、舟は次第に水が漏り始め、佐助はとうとう川に投げ出されてしまいました。 おまけに川を遡ってきた鮭の群と鉢合わせ。その中の一匹が大きな口を開けました。 「旦那、すまねえ。どうやらここまでみたいだ。あーあ、やっぱりあの子の名前くらい聞いとくんだったな。」 観念した佐助はそのまま目を閉じました。
どのくらいたったでしょうか。明るい光を感じ、佐助が目を開けると、 そこには口をあんぐりと開けた幸村がいました。 佐助を食べた鮭はその後釣り上げられ、お館様に献上されたのです。 立派な魚を切り開くとのことで、幸村も台所へ見に来ていたのでした。 「佐助!」 幸村が驚くのも無理はありません。 「心配したのだぞ!一体今までどこに!?」 もちろん自分のしたことは覚えていません。 「いや、しかしよく戻った。さすがは某の忍だ。お前の部下もさぞ喜ぶだろう。」 幸村は佐助をお館様の城の模型へ連れて行きました。 佐助も嬉しくてたまりません。今度こそあのくのいちをモノにしようと張り切っていた彼が見たものは
佐助のいない間に城の仲間に加えられた武将の人形が、あのくのいちと手を取り合い、 周囲に薔薇を撒き散らしている光景でした。 めでたし、めでたし。 さ、バカな妄想を書き散らしたところで雅もお盆の準備でもしますかね。 今年もがんばって嫁してきます。 拍手・メッセージともありがとうございます!励みにさせていただきます!