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ある国に幸村というそれはそれは可愛らしいお姫様がおりました。 元気な幸村は今日もお気に入りの泉のそばで槍の稽古です。 「むん!ふんっ!」 ところが少々頑張りすぎたためか汗で手が滑り、槍を泉の中へ落としてしまいました。 「ああっ!お館様からいただいた某のっ!叱ってくだされお館様あ!」 叫びながらガンガンと木の幹に頭を打ち付ける幸村に声をかける者がおりました。 「おい、人のねぐらの前でなあに騒いでやがんだ?」 見るとそこには眼帯を付けたカエルがおりました。 「なんと・・・!眼帯をしたカエルとは面妖な・・・!」 「余計な世話だぜ。それより何騒いでたんだ?」 「そ、そうでござった!某、大事なものをこの泉に落としてしまったのでござる!」 それを聞いたカエルはにやりと笑いました。が、慌てふためいている幸村は気付きません。 「・・・OK,俺が取ってきてやる。その代わり俺をあんたの相棒にしてくれ、You see?」 「ま、まことでござるか!?取って来ていただけるのなら某なんでも・・・」 「で、何を落としたんだ?」 「槍でござる!」 「・・・また取りにくいもん落としやがって。」 文句を言いつつもカエルは泉に飛び込むと、幸村の槍をくわえて水面に戻ってきました。 「おお!間違いござらん!これでござる!」 「そいつはよかった。じゃあ、約束通りに俺を・・・」 ところが、すっかり元気になった幸村はカエルの話を聞いていません。さっきの約束もすっかり忘れ、一目散にお城へとかけ戻ってしまいました。 「今帰りますぞ!お館様ー!」 「ちょっと待て!この野郎!」 さて、日も暮れて夕食時。 佐助の作ったおいしそうな食事を前にまさに食べ始めようとしたその時、戸を叩くものがありました。 「なんじゃ、こんな刻限に。幸村、見てまいれ。」 「はっ」 幸村が戸を開けると、そこには昼間のカエルがいました。 ここまで来るのに苦労したとみえて、肩で息をしています。 「て、てめえ、俺を置いていくとはいい度胸じゃねえか・・・。」 「・・・はて、誰でござったか。」 夕方昼寝をした幸村は、昼間の出来事をすっかり忘れておりました。 「ふざけんな!お前の槍を拾ってやったのは誰だ!?」 「そ、そういえば・・・」 やっと思い出しかけた幸村は突然空高く吹っ飛ばされました。 もちろんお館様に殴り飛ばされたのです。 「馬鹿者!恩を受けた相手に礼も尽くせぬでどうする、幸村!」 「も、申し訳ありませぬ、お館様!」 「分かればよいのじゃ!見事このカエルをもてなしてみせい!」 「果たして見せますぞ、お館様あああ!」 こうして幸村はカエルを城の中へと入れ、食事をふるまいました。 「ちょっとちょっと旦那、カエルをお膳に乗せるのはやめてくんない?」 佐助は嫌そうでしたが、それは本能的にそのカエルが気に入らないからでした。 なぜかそれはカエルも同じようで、お互い睨み合っては火花を散らしています。もちろん幸村は気付きません。 やがて寝る時間となり、幸村はカエルを寝室に案内しました。 「今宵は某の布団でゆるりと休まれよ。」 「おう、悪ぃな。」 よっこいせ、と布団に入ろうとしたカエルですが、そこには幸村が毎晩一緒に寝ているお館様縫いぐるみ(佐助作)がありました。 「おいおい、こんなもんがあったんじゃ俺の入る場所がねえじゃねえか。」 カエルは文句を言いつつ縫いぐるみを投げました。 が、それは幸村が何より大事にしているものだったのです。幸村は我を忘れてカエルに掴みかかりました。 「な、何をされるカエル殿!あれは某にとって何より大事なっ・・・!」 気が付くと、カエルが部屋の壁に叩きつけられのびています。 「カ、カエル殿っ!?」 どうやら自分が投げつけたらしい、と気付いた幸村は平謝りに謝りました。 「も、申し訳ござらん、カエル殿!恩人であるお主に某は何ということをおおお!」 畳に額を擦り付けている幸村には見えませんでしたが、その時青白い光が溢れ、カエルはたちまちその姿を変えたのです。 「Hey,幸村。顔をあげな。」 突然低い声でそう囁かれ、幸村はおそるおそる顔をあげました。 そこには見たこともない青年が立っています。 「お、お主は・・・?」 「驚くのも無理はねぇ。俺の本当の名は政宗だ。実は性質の悪い女に惚れられちまってな。後腐れないようにときっぱり振ったら逆恨みされて、こんな魔法をかけられちまったってわけだ。」 「は・・・」 「は?」 意外な反応に政宗が幸村を見ると、真っ赤な顔で口をぱくぱくさせています。 「破廉恥でござるうううううう!カエル殿!」 「カエル言うな!俺のどこが破廉恥だってんだ!」 「せ、せめて何か着てくだされ!そのような姿で・・・」 「いきなり戻ったんだからしょうがねえだろ!」 「旦那ー、何騒いで・・・ってなに!?誰だよ、その変態!」 「黙れ、猿!」 というわけで、 幸村は政宗の相棒となり(さすがに嫁とは書けなかった・・・)、彼の国へと行くことになったのでした。 で、前回の日記に続くわけです。 こんな話を7歳の娘の寝物語にしていていいものかと思う今日この頃。 それにしても、短編と日記の温度差がありすぎるような・・・。 次回更新は来週になります。皆様よい週末を。 拍手・メッセージありがとうございます!励みにさせていただきます!